これ以上、家計費を削れない厚生労働省の統計によると、母子家庭の平均年収は229万円で、一般世帯の658万円の4割に満たない。この額は、依然として残る男女の賃金格差の反映であり、実際には、子育てのために長時間労働ができず、パート勤務を余儀なくされる女性が多いのが現実だ。さらに、ただでさえ求人が少ない不況下で、子どもを抱えた女性が正社員を希望しても、就職先を見つけられるケースは少ない。母子家庭の母親らでつくる「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」が昨年末から今年初めにかけて実施したアンケート調査(回答数183人)によると、シングルマザーの養育費を含まない平均年収は158万円。児童扶養手当は123人が全部支給、27人が一部支給を受けていた。就労形態は66人がパートかアルバイト、63人が正社員、現在無職だと答えた26人のうち20人が失業・求職中。
「ひとり親になって年月がたつにつれて、収入が上がったか」の質問に、「同じくらい」と答えた人が43%と最も多く、次いで「下がった」が33%、「上がった」と答えた人は11%。元夫から養育費を受け取っている人は全体の45%だが、「その養育費はあてにできるか」の問いには「できない」が71%。「生活が苦しいと感じて悲しくなったり、生活意欲をなくしたりすること」は「よくある」「たまにある」が計87%。「児童扶養手当が支給されなくなったら、家計のどこかを削れるか」の質問には「いいえ」が67%で、「はい」の33%を大きく上回った。 「家計簿を示せ」はプライバシー侵害新制度での「養育費申請書」が受給者あてに役所から送付された7月末から、「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」の事務所(東京都)には、受給者たちからの問い合わせが増えた。制度改定にともなう受給額の質問とともに多いのが、申請書類についての疑問を投げかける声だった。 この書類様式に関しては、厚生労働省がひな形として示した6月末から、しんぐるまざーず・ふぉーらむなどの当事者団体などが、「プライバシーを侵害する内容」だと厚生労働省に強く抗議。7月中旬に「収支は記入不要」との回答を得ていたのだが、その通知が全国の都道府県に届くのが遅かったこともあり、「記入必要」としか理解できない上記の書類をすでに受給者あてに発送した自治体があったためである。 |