養育費を受け取れるシステム作りが急務 制度改定により、収入に加算することになった父親からの養育費に関しての問題も浮上している。離婚した父親にも、もちろん子どもを扶養する義務があるが、離婚母子家庭で養育費の取り決めがあるのは35%、実際に支払われているのは21%に過ぎないというのが現状。取り決めがあるのに養育費支払いが行われなかった場合、調停証書や公正証書など執行力のある文書がなければ、給料を差し押さえるなどの強制執行はできない。支払い実績を申請しても、それが継続するかどうかは不明だ。また、子ども宛に「扶養料」として振り込まれていれば、「養育費」に該当しないといったあいまいな見解を疑問視する声も多い。
「養育費は、子どもの父親から確実に受け取れる制度を作ったうえで所得に算入するのが筋で、養育費は子どもの父親から確実に受け取れる制度を作ることが先決です。政策の順序が逆。自助努力だけでは、安定収入を確保できない社会の仕組みがある以上、所得保障としての児童扶養手当は、決して削減対象にすべきものではないはずなのに」としんぐるまざーず・ふぉーらむのメンバーらは話している。
「母子家庭等自立支援策」を有効なものに一方で、厚生労働省が打ち出している「母子家庭等自立支援策」に注目したい。シングルマザーが児童扶養手当を必要とせずに暮らしてゆけるよう、就労や生活上において支援する事業を制度化しようというもので、2700億円の予算がついたとこのほど発表された。臨時国会で法改正案が成立し、2003年4月から実施されると見られている。支援策として、目下「審議中」の主な項目は、次のとおり。 (1) 介護人派遣事業の再編・抜本的拡充。 (2) 保育所の優先入所。 (3) 指定教育訓練講座(パソコン技術、介護ヘルパーなど)の受講料の8割、30万円を限度に支給する「自立支援教育訓練給付」の創設。 (4) 介護福祉士など長期の訓練を受ける場合の訓練促進費(月額10万円程度)を支給する「高等技能訓練促進費」の創設。 (5) 技能修得中の生活資金(月額14万円程度)の無利子貸付制度の創設。 (6) パート雇用の従業員を常用雇用に転換した場合、事業主に支給する「常用雇用転換奨励金」(30万円程度)の創設。 (7) ハローワークと提携し、求人情報の提供や就職・能力開発など自立支援の相談を行う「自立支援員」の自治体への設置。
10月~、大阪市などで「相談会」開催 当事者団体の働きかけなどにより、大阪市では、児童扶養手当申請者宛に「児童扶養手当証証書(通称:認定証)が送付される10月から11月にかけて、各区で、母子家庭の相談にきめ細かく答える「相談会」が実施されることになった。大阪市民政局児童福祉推進課の話によると、通常、各区役所の健康福祉サービス課でも随時、相談を受け付けているが、この相談会は母子家庭の母親らが利用しやすい時間帯を考慮して、夕方以降の時間にも開設。「特例児童扶養資金」など母子福祉貸付金の案内をはじめ、就労支援の施策を詳しく案内する予定という。 |