「自分らしさ」を軸に、「男の生き方」の問い直しを 講演のときに微妙だと思うのは、男性たちの、ちょっとした意識のズレです。先日も「男性の生き方」をテーマにした公民館講座を依頼されたのですが、受講生の人たちがイメージしておられたのは、一方的に話を聞く形式の講座だったらしく、「まず、みなさんの体験を語ることから始めましょう」と申し上げると、そんなのは講座ではないと多くの方がおっしゃる。 定年後の経済設計も、確かに大切です。しかし、妻は「夫は、私の話を聞いてくれない」と思っているのに、夫は「妻の話をいつもきちんと聞いている」と思っている。そんなギャップを埋めていくために、人とのコミュニケーションについて学ぶことも大切だと認識してほしいと、私は思うのです。 今からでも遅くない。男たちよ、相手の気持ちに寄り添いながら、会話のキャッチボールを楽しんでみようよと、私は言いたい。楽しいときに「楽しい」、辛いときに「辛い」、面白いときに「面白い」、痛いときに「痛い」・・・と口にし、うれしいときは素直に喜び、悲しいときは涙を流すことによって、また「弱い自分」をさらすことを恥と考えずに、あるがままの自分をさらけだすことによって、相手のそういった気持ちにも敏感になれると思う。 どうすれば、そんなふうになれるか、ですか? スポーツでも趣味でも何でもいいから、若いうちから、仕事以外のことに首をつっこんでおくこと。これに尽きるでしょう。何々をしてみたいと思うことがあったら、「そのうちに時間に余裕ができたら」ではなく、ともかくどんなに忙しくても初めの一歩を踏み出してみること。「仕事以外の何か」を持つと、従来の考え方が多少なりとも変わっていく。「男らしさ」の価値観にしばられずに、「自分らしさ」を軸に物事を判断する訓練をしていってほしいと思います。
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