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多民族共生

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2006/03/10
未来に続く、ほんとうに意味のある国際協力を求めて


「あなたのたいせつなものはなんですか?」

活動の1つは、世界中の子どもたちが世界に目を向けるような写真絵本やビデオ映像教材をつくること。
200カ国すべての国で、人種や宗教の比率も考慮した各国100人以上の子どもたちに自分の一番大切なものの絵を描いてもらう「お絵描きイベント」を開催している。
「世界にはたくさんの人たちが住んでいて、民族も宗教も文化もすべて違う。その人たちが自分の大事なものの絵を見せっこできたら、少しだけでもお互いを理解しあえ、争いを減らすことができるかもしれない。それを子どものうちからの頭の片隅に入れておいてほしいんです」


これまで約40カ国を訪ね、インドでは600人以上、アフリカ全土4カ所で1000人を超える子どもたちに、1月末行ったニューヨークでは800人に参加してもらった。絵を描いた後には必ずその子の家を訪問し、父親の仕事の内容、母親が作る料理のこと、宗教などを聞き、どんな政治体制や社会背景の場所に住んでいるのかまでを取材。その第一号となる写真絵本『あなたのたいせつなものはなんですか?(小学館)』カンボジア編が昨年出版された。
「カンボジア編で印象深いのは、人身売買を描いた女の子の絵。最初は何を描いているのか分からず、本人に聞いても暗い顔をしているだけ。学校の先生から戦争でお父さんを失い、お母さんが病気で働けないので、姉を売春宿に売って生活費と妹の学費にしていると聞きました。その子の家まで行って親の話を聞くと、絵の背景が見えてくる。毎回、毎回、目から鱗です」

世界に目を向けた人たちを育成

2つ目は、高校生、大学生向けての「ハローワーク」。今、国際協力を行っている人が地球人口の1%にも満たないという中で、一人でも多くの人に国際協力に参加してもらい、国際協力のプロをつくるため講演活動である。講演では、まず宇宙船地球号の話をする。
「私たちの宇宙船地球号には、65億人が住んでいる。約20億人がファーストクラスのすごくいい席に座り、残りの45億人は一番後ろの貨物室にぎゅうぎゅ詰めに押し込まれた状態。ファーストクラスには水も食べ物も、電気もうなるほどあって99%が小学校へ行き、60%が大学へ行ける。だから、政治家も弁護士も学校の先生も育つ。ところが、45億人には水も食べ物も電気もなく、小学校すら7割が行けず、医者も看護師も、学校の先生、技術者も育たない。今、この地球号ではとんでもないことが起きている。主に発展途上国で1秒間に3人子どもが産まれ、後25年で80億人、50年で100億人を突破する。その結果、後40年で石油が、65年で電気を作るウランがなくなる可能性が高い。そこで予想されるのが石油や天然ガス、ウランをめぐって起きるであろう戦争。私たちは墜落寸前の宇宙船に乗っていること自覚しなければなりません」
また、国連や政府系、あるいはNGOの国際協力団体に入るには、どういった学歴や経歴、英語能力、資格などが必要なのか、国際協力を始めるためのノウハウを伝える。普通のサラリーマンや主婦でもできる国際協力が、どれだけあるかも紹介もする。
さらに啓蒙活動の一つとして、5月には、国際協力を真剣に考える人のための「さまざまな分野で実際に国際協力をしている36の人や団体にインタビューした本『世界と恋するおしごと 国際協力のトビラ』」も出版する。

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