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2004/07/09
闘う子供たちのために、お母さんの笑顔と安心を上げたい。


心臓移植とは、提供者とともに生きること

年々、サポート内容は広がる一方で、今では移植を希望する人のアメリカでの病院探しや募金活動、移植後のケアなどにも関わっている。最近は、白血病の治療で心筋を傷めて移植しか生きる道がないなど薬害性のものが増えており、国内で移植手術がすぐにはできないため、外国行きを目指す場合が多いという。ドナーが少ない子どもの場合は、募金活動を2カ月ほどすれば1億円を超えるお金が集まるのだが、大人の場合はかなり難しいのが現状だ。海外で移植して帰国できても、移植6カ月は免疫抑制剤の拒否反応がいちばん強く、病院のそばに滞在しければいけないため、そういう家族への部屋の提供もしている。
移植に関してはその是非が問われているが、第三者として移植者のもっともそばにいる梶原さんの意見はより具体的だ。
「心臓移植をして元の職場にもどり、肉体労働をしている人がいます。彼は疲れると自分の心臓に手をおいて『疲れたね、少し休もうか』と声をかける。また、頑張れたら『ありがとう』と声をかけている。そんな姿を見て、提供者の心臓と共に生きているんだと感じた。心臓は決してモノじゃなく、提供者の人生が詰まっている。だからその人と一緒に生きることなんです」
移植しか生きる道のない男の子に、「僕は死にたくない、やりたいことがあるんだ。でも、だれかの死を待っていることはどういうことなのかと悩むんだ」と相談されたこともある。梶原さんは「違うよ」と答えたそうだ。「仮にあなたのお母さんが交通事故で亡くなって、お母さんの心臓がだれかの役に立って一緒に生きていくことは、残された家族にとって生きる希望なんだと考えればいいのよ」と。

サポートハウス親の会のパンフレット ある日突然のわが子への心臓病宣告。死を突き付けられ、生を得るための心労と経済的負担の大きさに驚き、嘆き、孤立する親。その親に寄り添い、手を引いてくれる人がなければ、前向きに歩める人、あるいは移植までたどり着ける人は少ないだろう。
梶原さんのもとには宿泊先を求め、全国から切羽詰まった電話がかかってくる。「この子を死なせたくないんです」。もっとも困るのは満室で断らなければいけない時だ。ある親は経済的事情をこと細かく説明し、ヒステリックに叫んだ。「お金がないと子どもは救えないんですか!」。梶原さんは胸を痛めながら、「この日本という国がわからない」と頭をかかえるという。経済的基盤の弱い家族に重病人が出た場合の救済福祉制度がまったく整っていない国・・・。とはいえ、一人の女性の善意だけに任せていいものなのだろうか。
(2004年4月末インタビュー)

■全国から集まる入院家族は自宅への連絡などで通信費がかさむため、サポートハウス親の会では、不要のテレホンカードや切手の寄付を募っている。送り先は下記の住所へ
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