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2001/04/06
セクシュアルマイノリティ G-FRONT関西 「ありのままの私」たちのネットワーク


読書会の風景
例会や分科会などの活動は土・日曜に。 これは読書会風景。

高校教員のIさん(35歳)は、小学校の頃から「スカートをはきたい」「女性になりたい」という願望があった。しかし、「そんなことが許されるわけがない」とそんな思いを封じて大人になり、結婚して2児の父にもなったが、同僚のゲイ教員が職場でカムアウトしたのをきっかけに、「女性になりたいと思うのは、別にやましいことではないかもしれない」と思うようになり、一人でいる時にスカートをはくようになり、やがて妻に打ち明けた。
妻は「なぜ結婚する前に言ってくれなかったの?」と困惑したが、「自分でも分からなかった」と告白するうちに、徐々に理解を示してくれた。職場では男性で通すものの、家ではほぼ毎日女性用の服を着て過ごしている。子どもに「お父ちゃん、男なの? 女なの?」と聞かれると、「どっちでもあるし、どっちでもない」と答えている。

旗を振ってアピール
「性別にとらわれない、性別を越えた生き方に理解を」とアピール

福祉関係の仕事をするMさん(28歳)は、肉体的には女性として生まれ育った。社会的には自分が女性に属していると認識しつつも、女性として扱われることに常に違和感があり、“異性”として好きになるのもいつも女性だった。
20代前半の時、自分は「男の欠陥商品」であるの思いから、7年つきあった彼女に別の男性とつきあうように勧め、別れた。彼女を失った衝撃は大きく、自暴自棄になり死にかけた。だが、それをきっかけに「自分に正直に生きていこう」と心を切り替えることができ、性同一性障害についての情報集めを始める。職場を変わり、心機一転を図ろうかという思いになっていた頃、職場で責任のあるポジションにつくことを打診されたため、やむなく上司に「自分は性同一性障害だ」と告白し、続いて同僚、友達にもカムアウト。「申し訳ない」と思いつつ、両親にも打ち明け、「将来、結婚はしないと思う」と宣言した。すると、「結婚するしないの基準ではなく、どうやって自立して生きてくか、その生きざまを見ている」と言われた。その後、胸の除去手術をし、裁判所に申し立ても行い男の名前への改名も済ませた。職場では「にいちゃん」と呼ばれることも「ねえちゃん」と呼ばれることもある。

冊子も発行
自分たちの来し方や思いを綴った冊子も発行している

そんな個人ストーリーを話す機会もあるというゲイ・フロント関西。「読書会ブランチ」「コミュニケーション・ブランチ」「アクション・ブランチ」など目的別の部会制をとっており、会員はどの部会にも参加できる。大学祭でのイベント開催や、テレビ局の不適切な表現への抗議活動も行ってきた。大阪府人権尊重の社会づくり条例にもとづき、このほど策定された「大阪府人権施策推進基本方針」の「取り組むべき主要課題」の中に、注釈とともに「性的マイノリティとされる人々」に関する一文が加えられることになったのも、同グループが働きかけをした成果だ。
「ヘテロの人から『いつからゲイを自覚したの?』と聞かれることが多いが、むしろ『じゃあ、あなたはいつから異性愛者と自覚したの?』と問いたい。今後とも、いろんな価値観が持て、いろんな発言や行動ができ、会員がお互いに伸ばしあえるようなグループを目指したい」と小川さんは言っている。

ゲイ・フロント関西の連絡先=06-6302-6124(連絡は土・日曜日に)
ホームページ=http://www5e.biglobe.ne.jp/~gfront/

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