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頭を負傷してから物忘れが激しくなったりする。これも後遺症?

昨年、息子が交通事故で頭を負傷しました。その後、身体の障害はほとんど残らなかったのですが、物忘れが激しくなり、新しいことをほとんど覚えられない状態です。また、急に怒りだしたり泣いたりするなど性格も一変しました。これも交通事故の後遺症なのでしょうか。

おそらく「高次脳機能障害」と呼ばれるものだと思います。高次脳機能障害とは、事故や病気を原因とする脳損傷のために、高次脳機能である言語・記憶・感情等の機能に生じる障害のことで、外見から判断されにくいため「見えない障害」と呼ばれることもあります。その障害の表れ方は、脳の損傷を受けた部位によってさまざまですが、人によっては「数分前のことを覚えていない」「ささいなことでかっとして暴力をふるう」「何をやるにしても人に指図されないとできない」等の問題行動のため、介護者である家族が大きなストレスを抱えることも少なくありません。
このように、高次脳機能障害は本人とその家族の生活に大きな支障をもたらしますが、現在ではまだ社会的認知度が低く、医療・福祉の専門家もこの障害のことをあまりよく知りません。そのため地域の保健・福祉サービスをなかなか利用できず、特に若年・中年の世代は利用できる福祉制度が少ないことから、いわゆる「制度の谷間」に置かれているのが現状です。
しかし、最近になって制度整備が徐々に進みつつあります。たとえば交通事故を原因とする高次脳機能障害の場合、自賠責保険における障害認定の対象にもなるようになりました。