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知的障害者の施設で体罰を受けていると聞いたが

知的障害のある知人の息子さんが、入所している施設で体罰を受けているという話を聞きました。知的障害者の施設では、指導や訓練の方法として、体罰が許されているのでしょうか。

いかなる理由があろうと体罰は許されません。ところが残念なことに、施設では古くから「世話する者とされる者」「指導・訓練をする者と受ける者」といった専門家である施設職員と利用者・家族との関係のなかで、施設職員のモラルによっては人権侵害が発生しやすい状況があります。また、施設職員の一部には「しつけの一部」「本人のため」「訓練の一部」として、「体罰」とは認識していないケースもありました。
近年の障害者福祉の考え方としては、障害者の人権を最優先とし、体罰を明確に否定しています。利用者と職員の関係も、「指導・訓練」から「個々の利用者のニ一ズに基づいた支援」へと変わってきています。施設関係者の間でも入所施設における利用者の人権尊重についての検討や実践的な試みがなされ、利用者支援という大前提に対する理解がひろがりつつあります。
体罰などの人権侵害を未然に防ぐため、問題となる具体的行為の禁止や職員に対するルールづくりなどに施設ぐるみで取り組むとともに、ボランティアの導入、苦情解決の仕組みの活用、第三者評価の導入など、風通しのよい、地域に開かれた施設運営を進めることが重要です。体罰が行なわれている疑いがある場合、施設や行政機関に、事実関係の調査をするよう求めてください。