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特別養護老人ホームで介護職員から暴言を吐かれた

母は特別養護老人ホームを12年間利用しています。ずっと気持ちよく暮らしてきたのですが、2年前に新しい施設長が就任してから雰囲気が変わってしまいました。ある介護職員から「出て行け」「ババア」などと言われたり、施設長が母の行動に何かと口を出すため「まるで監視されているような気がする」と言い、とても苦痛を感じているようです。また、私が施設のバザーにハンカチやスカーフなどを寄付したのですが、「受け取っていない」と言われ、納得できません。

多くの特別養護老人ホームの入所待機者がいる状態をふまえて考えてみると、利用者は弱い立場にあるといえるでしょう。仮に職員が「出て行け」という表現をしていなかったとしても、たとえば「手のかかる人や」「あんたがいなかったら楽なのに」などという表現は、利用者に「出ていけ」という意味に理解されることがあるかもしれません。
また、施設内の巡回が「監視」と理解されたのかもしれませんが、施設側の意図がどうであれ、「監視」と理解されたということ自体が、施設利用者と職員との日常的なコミュニケーション不足を表していると考えられます。
社会福祉協議会内にある運営適正化委員会などの機関に相談して、まず事実関係を解明することが、施設側の利用者への対応やケアのあり方を見直すきっかけになると思います。

【事例】入所施設の待遇問題
高齢者や障害者の入所施設の待遇については、利用者やその家族からさまざまな苦情が寄せられる。
1.重度の障害があり、施設に入所しています。施設の職員は、「世話をしてやっている、わがままを言うな」と暴言を吐きます。排便も介助が必要なのですが、介護職員に頼むと「今は忙しい」などと言われ、なかなかしてもらえません。
2.父がショートステイ利用中に足を骨折しました。しかし施設側からは納得できる説明が何もなく、不信感を募らせています。
3.現在の施設へ入所して数年になります。これまでに何度か部屋替えがありましたが、特に問題はありませんでした。ところが今度の部屋替えで同室となった高齢者のイビキがひどく、眠れません。睡眠不足が続き、体調も気分もすぐれず、困っています。
1のケースでは、職員と利用者のコミュニケーションが不十分で、職員の言動が利用者に正しく伝わっていないことがわかった。職員が利用者の立場に立っているかどうか、施設職員の研修を実施し、利用者本位の施設運営に努めることになった。2のケースでは、事故対応マニュアルが不備だったことがわかり、施設職員にマニュアルの周知徹底を図ることになった。3のケースでは集団生活を余儀なくされている入所者の実態を、施設側が把握していなかったことがわかり、部屋替えや「イビキ防止器具」の購入などの処置がとられた。
施設利用者には「苦情を言えば、退所させられるのではないか」という心配がある。関係機関には、施設利用者の弱い立場を十分に理解し、その立場に立った取り組みが求められる。