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ふらっと相談室(Q&A)



6.犯罪被害に遭ったことで、周囲が気になり辛い思いや悩んでいる

ある犯罪の被害に遭って以来、生活が一変してしまいました。被害を受けた立場であるにもかかわらず、周囲の目や声につらい思いをしています。気持ちのやり場がなくて悩んでいるのですが。

 思いがけない犯罪に巻き込まれて日常生活もままならず、さぞお困りのことと思います。ごく最近まで被害者は、被害を受けた側であるにもかかわらず、さまざまな我慢を強いられてきました。しかし、現在は「犯罪被害者の人権」が社会の問題として取り上げられるようになってきました。 犯罪被害者になるということは、被害で受けた痛手のみならず、日常生活が破壊されるなどの大きな精神的苦痛も受けます。

たとえば、家族間では「○○のせいだ」「?したからだ」などと責任の押しつけ合いになったり、逆に一人が「私のせいだ」と自分ばかりを責めて家庭内で孤立する場合があります。

また、「被害者にも何か落ち度があったからではないか」「不注意だったせいだ」などといった無責任なうわさに傷つく人も多くいます。事件が報道されると、自宅にマスコミ関係者や興味本位で様子を見にくる人が押し寄せ、外出もままならない状況になったりもします。

このような状況のなかで、被害を受けた人がまるで自分が悪いことをしたような気持ちになってしまうのです。しかし、当然のことながら悪いのは被害者ではなく、加害者です。被害者が被害以外のことでも大きな精神的苦痛を受けることは、なくしていかなければなりません。

また、被害を受けると周囲の者に対してその憤りをぶつけたくなるのはごく自然な気持ちです。だからといっていわれなき被害を受けた者同士が憤りをぶつけ合うのは心の傷を深めることになります。

このような事態を避けるためにも、犯罪被害を受けたときは法的・具体的解決方法も含め、さまざまな社会的支援団体・機関へ相談が必要です。現在、「認定NPO法人 全国被害者支援ネットワーク」の加盟団体は47都道府県48団体にのぼり、各行政機関、司法機関、その他の民間団体とも連携を図り、充実した支援体制が整いつつありますので、お住まいの被害者支援団体にご相談してください。

【注】2004年には「犯罪被害者等基本法」が成立し、2005年「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定され、各都道府県、公共団体等が支援の取組み、指針等が示されました。また、2011年には、見直しが行われ「第2次犯罪被害者等基本計画」が示された。

*認定NPO法人全国被害者支援ネットワーク

*「犯罪被害者等基本法」(内閣府)

*「犯罪被害者等基本計画」(内閣府)

*「第2次犯罪被害者等基本計画」

執筆協力: 特定非営利活動法人 大阪被害者支援アドボカシーセンター