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障害者

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2000/01/22
あたりまえの教育を受けるまでの長い闘い


本人の自立支援を一番に考えてほしい
涼くんはこの春5年生になるが、池田市教委との交渉は続いている。'99年9月には倉田市長から、親の付き添いをなくすために「重度障害児通学介護費助成事業」の提案が出された。みどりさんは「『少しでも親の負担を減らしてあげよう』という市長の気持ちは嬉しい」としつつも、「あくまで本人の自立を支援するという考え方からの提案であってほしい」いう思いから、まだ正式な返事はしていない。しかし一方で、
「小学校の先生たちにも、この問題を『自分たちのこと』として考えてほしいと思い、働きかけてきました。けれど先生たちさえ管理されている学校のなかでは、先生たちが主体的に考え、動いてくれることを期待するのは無理かもしれないと思うようにもなってきました。とても寂しいことですが」とも話す。
涼くんを取り巻く環境はなかなか整わないが、涼くん自身は日々、成長している。パソコンでみどりさんを「おばちゃん」と呼んでみたり、気に入らないことがあると白眼をむいて怒ったり。幼い頃はかすかに動く人さし指と親指で意思表示をしていたが、最近は表情やまばたき、パソコンを使うなど感情表現もぐんと豊かになってきた。10歳といえば、思春期の入り口にさしかかる時期。そろそろ親がうっとうしくなる年ごろだ。みどりさんがいうように、一番大切なことは、涼くんがこれから社会の一員として生きていくために何が必要なのかを考え、支援していくこと。そのためにはまず、親から離れ、他人とコミュニケーションするなかで信頼関係を築くことを学ぶ機会を積極的に提供していく必要がある。それが、生きる力や喜びにつながっていくはずだからだ。それは障害の有無にかかわらず、今もっとも教育に求められていることでもあるはずだ。涼くんにどう対応するかは、池田市教委の教育行政の本質を表わすことでもある。今後の行方を見守りたい。
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