「女の子は生理が始まったら、男の子は射精するようになったら、体は大人や。セックスしたら、女の子は妊娠する可能性がある、男の子は女の子を妊娠させる可能性があるということや」 「好きな異性ができて、つきあうようになる。と、好きな人の肌のぬくもりを感じたくなるのはいいことやし、セックスしたくなるのも普通のことや。それはアカンとは言わへん」 「ただ、セックスは早くしたからといってオシャレなものでもないし、カッコイイものでもないんやで。30歳、40歳を過ぎるまでしなくても恥ずかしくないもんなんやで」 ホワイトボードに、子宮の絵を描き、大量の「卵子ちゃん」が毎月生まれる。「精子くん」との出会いがなかった卵子ちゃんは、毎月生理となって体の外に出て、ナプキンに包まれてサニタリーボックスに捨てられる。射精で出てきた大量の精子くんも、そのほとんどはティッシュに包まれて捨てられるし、セックスで女の子の体内に入っても、大半は卵子ちゃんと出会うことなく、人間の形にならずに死んでいく。元気に生き残った精子くんだけが、何百、何千、何万分の1の可能性で、卵子ちゃんと出会って、ビンゴする。それが妊娠で、やがて人間の形になっていく「すごいこと」なのだ、と。 「みんな、お父さんの精子とお母さんの卵子が、ものすごく少ない確率をくぐりぬけて出会った中から、生まれてきた人間として、今ここにいるんやで。みんな、自分を好きになってください」 もしもリストカットしている子がいるんやったら、すぐにやめなさい。自分を傷つけることはやめなさい、自分で自分の命を守ってくださいの言葉に、熱がこもる。
「産めないでしょ。それやったら、セックスしても避妊しないとアカン。女の子は、セックスする時に、『(コンドームを)つけて』と言える子にならないとアカン。男の子は、女の子に言われなくても自分から『つける』と言う子にならないとアカン」 最後に、今の世の中、子どもたちもストレス多いだろうけど、自分の命は自分で守らないといけない、と締めくくった亀山さんに、生徒たちから大きな拍手が届いた。 「放っておけない性分なのよ」という亀山さんは、タレント活動と並行して、時間の許す限り請われた講演を受け、こんなふうな直球を投げている。 最近では、中高校生だけでなく、保護者会など大人のグループからの依頼も少なくない。そんな時は、必ずこう言うのだそうだ。 (04年11月~12月、取材 text:井上理津子) 亀山房代(かめやま・ふさよ)タレント。1967年三重県生まれ。1989年11月に元「ザ・ぼんち」の里見まさととコンビを結成。1997年に上方お笑い大賞(読売テレビ)金賞、98年に上方漫才大賞(ラジオ大阪)大賞を受賞。30歳を過ぎた頃から、社会的・教育的な番組に活動の場を広げ、現在、NHK大阪放送局「ぐるっと関西おひるまえ」「中国語会話」の司会者として活躍する一方、10代の性教育などをテーマに各地で講演している。著書に「みみどしま」(ぱすてる書房) |