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障害者

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2002/02/13
ユニークフェイス 「ふつうでない」顔で生きるということ


「障害者」でもないけど「健常者」でもない

マンガ「もよう」 たったふたりの経験のごく一部を紹介しただけでも、「ふつう」でない顔の人がこの社会で生きていく大変さを示すエピソードがいくつも出てくる。「ユニークフェイ ス」事務局にに寄せられる手紙や定例会にも、「子ども時代に受けた身体的・精神的暴力が今も尾をひいている」「顔にアザのある子どもがいじめを受けている」「結婚 したい人がいるが、相手の親に反対された」「就職活動の際に"うちは客商売だから""うつるんじゃないの"などと言われ、断られた」など、あらゆる場面で差別・偏見に さらされていることを示す声がたくさん寄せられている。会員がかかえている症状は、血管腫、顔面麻痺、円形脱毛症、やけどによるケロイド・・・とさまざまで、顔 や体の機能障害の有無も人それぞれ。ただ現在のところは機能障害のない会員が多い。そこで会員の多くに共通する問題としてまず出てくるのが、常に浴びせられる視 線とそれに伴う偏見に満ちた言動、その一方で「顔のことぐらいでクヨクヨするな」「もっと大変な思いをしている人がたくさんいるんだから」といった"励まし"や"意見 "を押し付けられることだ。アザやケロイドのある顔を「気持ち悪い」と感じる"本音"と、「人間は顔じゃない、大切なのは中身だよ」という"建前"のはざまで、ユニーク フェイスの人たちは翻弄される。「ふつう」の顔の人たちの本音に傷ついたところへ、建前のアドバイスや励ましを受けるといったふうに。

石井政之さん「ユニークフェイス」の発起人のひとりである石井政之さん(36歳)はこう話す。「"アザなんてたいしたことないよ"という言葉が本心からの励ましだったとしても、当事者にとってはまったく参考にならないんです。じゃあ、自分の顔に大きなアザが あったらどう思いますか? 当然、悩むでしょう」
その悩みを石井さんはこうたとえる。「いろんな場面で疎外されるうちに、自分は周りよりワンランク下の人間なんだとい う意識になっていくんです。服にたとえると、キレイに並んでいる服のなかに一枚だけある傷モノという感じですね」
そしてその結果、先に挙げた社会的問題とは別に、「自分に自信がもてない」「他 者とのコミュニケーションが苦手」という心理的な問題も起こってくる。もちろん環境や当事者の性格などによって個人差がある。しかし問題なのは、私たちの社会が 「人間は外見ではない、中身が大切なんだ」としながらも、実際には外見で人を判断し選別しているという事実ではないだろうか。石井さんと同じく発起人のひとりであ る松本学さん(29歳)もまた、この「二重基準」に揺れるひとりである。

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