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世界記憶遺産とは

2015/05/08


(8)ヘンリック・イプセン:「人形の家」 

 

1.名 称 ヘンリック・イプセン:「人形の家」

Henrik Ibsen : A Doll’s House

 

2.登録国 ノルウェー

 

3.登録年 2001年

 

4.解 説

ノルウェーの作家、ヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲「人形の家」は、女性の権利や存在の自由、妻や母親としての義務からの解放といった価値観をとりあげた革新的な作品として、当時の社会規範や社会情勢に大きな影響を及ぼしました。このことから彼の自筆原稿コレクションが世界記憶遺産に登録されています。

主人公ノラは、夫にとって自分は従順でかわいい人形でしかなかったことを悟り、妻であり母である前に一個の自立した人間として生きることを求めて、最後は哀願する夫を振り切り、子どもを残して家を出る決意をします。

1879年に初演されると、古い道徳や社会に対する深刻な攻撃とみなされ、大きな衝撃が広がるとともに、女性解放論者と保守派との間に、激しい賛否論争を巻き起こしました。当時は社会の安定を揺るがす作品として、上演を禁止する国もありましたが、その影響はヨーロッパだけでなくアジアなどにも広がり、主人公ノラは新しい女の代名詞となりました。日本では1911(明治44)年に文芸協会で初演され、松井須磨子扮するノラが大きな反響を呼びました。

「人形の家」は、これまで世界中で広く上演されてきました。そして、主人公ノラは自由と平等を求めて戦う世界中の女性の象徴としての役割を果たしてきましたし、これからもそうあり続けるでしょう。

以 上