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世界記憶遺産とは

2015/05/08


(9)ベルゲンのハンセン病記録文書 

 

1.名 称 ベルゲンのハンセン病記録文書

The Leprosy Archives of Bergen

 

2.登録国 ノルウェー

 

3.登録年 2001年

 

4.解 説

ハンセン病は人類の歴史上もっとも古くから知られ、恐れられてきた病気の一つでした。1830年代、ノルウェーのハンセン病患者数が急増し、危機を感じたノルウェー政府は、1849年、ベルゲンにハンセン病の専門病院を開設し、医師ダニエル・コルネリウス・ダニエルセン(1815~1894年)を初代所長に任命し研究活動を強化しました。これにより、ハンセン病の医学研究が拡大され、19世紀ノルウェーのベルゲンは、ダニエルセンやアルマウェル・ハンセン(1841~1912年)の研究を通して、ハンセン病研究の一大拠点となりました。

これらの研究を通して、1873年にハンセンが「らい菌」を発見したことにより、ハンセン病が細菌によって引き起こされる感染症であり遺伝病でないことが証明されました。発見者の名前にちなんで、ハンセン病と呼ばれるようになりました。ハンセンのような献身的な研究者が果たした病気解明への役割には大きなものがありました。

登録内容はハンセン病と人類の格闘を物語るもので、ハンセン病博物館を併設する聖ヨルゲン病院をはじめ、ベルゲン市内の6機関が所有する記録で、その内容は、ハンセンらの検査報告や日記、書簡、器具・備品目録、患者の職業や食事に関する記録、各ハンセン病院との通信履歴、帳簿類など、多岐におよびます。ハンセン病とその根絶に関する世界で唯一の記録であり、世界的な規模でのハンセン病の科学的理解と説明の糸口となった記録です。

 

以 上