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人権と関わりの深いSDGs

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2022/04/21
人権と関わりの深いSDGs


3.人権と関わり深い4つの目標と取り組み事例

SDGsは人権と強くつながっています。その中でも特に人権に関連している4つの目標と、それぞれの目標に対する行政や企業などの取り組みについて紹介します。

(1)目標5 ジェンダー平等を実現しよう

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目標5には6つのターゲットと3つの実現方法があります。「ジェンダー(gender)」とは、生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的に形成された性別を指します(いわゆる「男らしさ」「女らしさ」)。これまで世界では、慣習や宗教などによって、男性と比べて女性は教育や社会参加の機会が制限されることが多くありました。これからは政治や意思決定の場で女性の能力が十分発揮できるような環境を作り、ジェンダー差別のないより良い社会をめざしています。日本は、先進国の中でも特に女性の社会進出という点では遅れをとっており、行政や企業などでも、さまざまな「女性活躍推進」の取り組みが行なわれています。

➀行政の取り組み

日本では、1999年に「男女共同参画社会基本法」が施行されました。この法律は、男女という枠組みにとらわれずに一人ひとりが社会の構成員として対等に生きていくことのできる社会の実現をめざしています。その後、2016年に「女性活躍推進法」が施行され、女性が社会で活躍しやすい環境をつくることを目的として、女性の就業に関するさまざまなルールを定め、女性の活躍を応援している企業に「えるぼし」マークを付与しているのもこの法律に基づいています。

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また、「なでしこ銘柄」は、政府が成長戦略の中核とする「女性活躍推進」の取り組みを加速させるために、経済産業省と東京証券取引所が共同で女性が働き続けるための環境整備を含め、女性の活躍を積極的に進めている企業を選定し、公表するものです。

➁企業などの取り組み

女性が働きやすい職場環境の整備として、多くの企業が、育児支援制度を導入し、結婚や産後の働き方改革や育児と仕事の両立を叶えるワークライフバランスを支える施策を行なっています。例えば、フレックスタイム制、短時間勤務や休業制度、在宅勤務制度等が整備され、男性の育児参加を促進する取り組みも始まっています。女性管理職の登用という面では、企業が女性の活躍を推進し、管理職や役員への登用を進めており、多くの企業で女性社員向けの育成プログラムや男性中心の管理職への意識改革を促す研修などが行われています。このような取り組みにより、企業の女性管理職比率は、1990年の約2%から2020年には10%台まで高まりました。しかし、まだ欧米企業と比べると比率は低く、さらに役員など経営層への登用も課題とされています。

また、自社の事業活動を通じて女性活躍を後押ししている例もあります。ある新聞社では、女性プロジェクトをスタートさせ、女性の多様な生き方に寄り添う情報発信や活動を続けています。毎年3月8日の国際女性デーを中心に、ジェンダー平等について集中的に報道しています。その紙面企画をまとめた冊子は教育現場やイベントで活用されています。

 

(2)目標8 働きがいも経済成長も

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目標8には10のターゲットと2つの実現方法があります。ここでは、働きがいのある人間らしい仕事や働く人のあらゆる権利が守られ、生活が安定する仕事(ディーセント・ワーク)の実現をめざしています。世界中すべての人を対象に安定した職業を与え、継続的な経済成長を実現することがゴールです。そのためには生産性を高めた産業の拡大が必要となります。それには、労働者が獲得する収入や健康、教育、就業機会を平等にし、著しく不利な立場に置かれる人をなくすこと、そして人びとが適切で継続的に営める生活環境を作ることが重要です。

➀行政の取り組み

日本の労働問題として、ブラック企業の存在や過労死の問題が挙げられます。この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを国全体としてめざしています。働き方改革を推進するための関係法律を整備し、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進しています。法律の軸となっているのが「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」です。

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また、女性活躍推進情報の「見える化」の徹底・活用の促進や経済分野における女性リーダーの育成なども積極的に行われています。

➁企業などの取り組み

・ワークライフバランスの推進

働くことに対する姿勢や環境の整備なども大切になっています。長時間労働の是正をめざし、不必要な会議を減らすことや、一斉休暇日、在宅勤務制度を設けるなどの取り組みをしている企業もあります。

・ハラスメントの根絶

ハラスメントのある職場は、社員相互の尊重がされていない、働きがいを損なう職場環境になっている問題であるとして、社内外の相談体制を充実、防止研修などを実施し、ハラスメントのない職場づくりに多くの企業が取り組んでいます。

・女性の活躍推進

日本では女性の働きにくさや男性との不平等があるとの声が多くあります。女性が働き続けられるようにするため、フレキシブルな勤務時間の設定や休暇制度の導入、女性の管理職比率を増加させるための研修の実施やキャリア支援に多くの企業が取り組んでいます。

 

(3)目標10 人や国の不平等をなくそう

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目標10には7つのターゲットと3つの実現方法があります。近年の調査では、世界の10人に2人が差別を経験し、障がいがある人の10人に3人は差別を経験しています。なかでも女性は、民族や宗教などによる複合差別を受けるケースが多いとのことが示されています。そこで、人権にかかわるターゲットとして、「すべての人の能力を強化し、社会・経済・政治への関わりを促進する」と「機会均等を確保し、成果の不平等を是正する」について紹介します。

➀行政の取り組み

機会均等の確保や成果の不平等の是正に関する代表的な人権に関する3つの法律(人権三法)と同一労働同一賃金について簡単に紹介します。

・部落差別解消推進法(部落差別の解消の推進に関する法律)

国と地方公共団体が部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、相談体制の充実、教育・啓発および実態調査などを実施し、部落差別のない社会を実現することを目的とする法律です。

・障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)

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「不当な差別的取り扱い」を禁止、「合理的配慮の提供」を求めています。そのことによって障がいのある人もない人も共に暮らせる社会をめざしています。

・ヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)

特定の国の出身者であること又はその子孫であることを理由に、日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの不当な差別的言動を対象とし、そのような言動があってはならないとの理念を明らかにしたものです。

・同一労働同一賃金(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正)

同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにすることを目的としたものです。

➁企業などの取り組み

ウェブアクセシビリティの推進と自社製品へのユニバーサルデザインの取り入れについてご紹介します。

・ウェブアクセシビリティの推進

インターネットの爆発的な普及とともに、ウェブサイトで提供される情報はますます重要なものとなっています。しかし、高齢者や障がい者を含むすべての人が利用できるものであるとは言えません。そこで、建物の入り口のスロープのようなバリアフリー概念をウェブサイトでも取り入れたものがウェブアクセシビリティです。例えば文字の色、コントラスト、見出しなどがあり、JIS基準が設けられています。

・自社製品へのユニバーサルデザインの取り入れ

ユニバーサルデザインは、「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする」という考え方です。例えばシャンプーとリンスのボトル容器の識別用突起など、高齢者や障がい者などの一部の人のみを対象としているのではなく、「すべての人の使いやすさ」をデザインに活かす取り組みです。

 

(4)目標16 平和と公正をすべての人に

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目標16には10のターゲットと2つの実現方法があります。世界では、今この瞬間もどこかで紛争や戦争などの争いごとが起きています。武器を用いた暴力と治安の悪化は、その国の開発に破壊的な打撃を与え、経済成長に影響し、多くの場合は人びとや地域間の長期的な不満を高めます。あらゆる場所で、すべて形の暴力と暴力による死亡率を大きく減らすことや、子どもに対する虐待、搾取などあらゆる形の暴力や拷問をなくすことなどが求められています。

 

このような課題を克服するためには、国家や国際的にも、法律にしたがって汚職や賄賂がなく、ものごとが正しく公平に取り扱われるような法制度の整備と、持続可能な開発のための政策を実施し、さらに、すべての人が平等に争いを解決するために裁判所などの司法を利用できるようにすることについても国連から要請があります。

➀行政の取り組み

1948年の国連で採択された「世界人権宣言」から始まった人権を尊重するという取り組みは、12月10日の人権の日に向け、国はさまざまな取り組みを促しています。日本政府は、1949年から毎年、人権の日を最終日とする1週間(12月4日~12月10日)を「人権週間」と定め、その期間中、各関係機関及び団体と協力し、全国的に人権啓発活動を展開しています。

法務省は2021年に、新型コロナウイルス感染症の感染者などに対する偏見・差別、インターネット上における誹謗中傷、いじめや虐待、外国人や障がいのある人、ハンセン病元患者やその家族などに対する偏見・差別など、さまざまな人権問題が依然として存在するとしています。これらの問題を解決し、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会を実現するには、私たち一人ひとりが人権尊重の重要性を改めて認識し、他者の人権に配慮した行動を取ることが大切であるとしてホームページに掲げ、ポスターや動画などで呼びかけを行っています。

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➁企業などの取り組み

持続可能な開発の重要要素である経済成長と雇用創出を担い、課題解決のための創造性とイノベーションを発揮するため、そのベースラインとして、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする、国際的な基準にもとづく企業活動が重要です。自社の活動が人権をはじめ社会に与える影響(プラスもマイナスも両方)を認識し、事業活動における人権デューデリジェンスを実施・強化してリスクに対応することで、プラスの成果を最大化させることができます。事業運営においてさまざまな権利、なかでも自社およびサプライチェーンにおける労働者の権利(ディーセント・ワーク)を尊重し、社会の持続的開発に貢献することが求められます。

2013年、バングラデシュのダッカ近郊のラナ・プラザにおいて、8階建ての老朽化したビルが崩壊し、死者1,127人、行方不明者約500人の最悪の事故がおきました。このビル内の縫製工場は、世界で有名なファストファッションブランドのサプライチェーンであり、劣悪な労働環境やずさんな安全管理をしていたこと、グローバル展開しているブランド企業が実態を認識していなかったため、企業の責任能力や業界の透明化が大きく問われた事例です。

このような事故を繰り返さないよう、企業は倫理的で持続可能な事業の在り方を追求していく必要があるといえるでしょう。

 

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